キノコ狩りの行方

 9/28(金)、予定どおり飯舘の皆さん6人が小海にいらっしゃいました。到着後まず見ていただいたのが八峰村の畑で栽培中のゴンボッパ=オヤマボクチ。このときのことと翌日の稲刈りについては日を改めて順次アップいたします。
 ゴンボッパ見学のあとに向かったのがキノコ狩りです。ツアー客のグループに八峰村オーナー関係者ともども同行させていただきました。いま飯舘の皆さんはは慣れ親しんだキノコ狩りが地元ではできない。小海でできるなら。そんな思いがあったのだと思います。
 ところが28日当日、残念な事態が起こってしまいました。小海町内の自生キノコから、食品衛生法にもとづく放射性セシウムの基準値100ベクレル/kgを超える129ベクレルが検出されたと長野県当局が発表したのです。サンプルの採種場所は町内千曲川右岸の群馬県側。プレスリリースには小海町内としかありませんでしたが、地元の人は集落名まで知っていました。
 同じ小海町内でも、千曲川の右岸と左岸(八ヶ岳側)では環境が違います。でもプレスリリースでは町内全域で野生キノコの採取・摂取・販売自粛が勧告されていました。個人的な採取はとにかく、当分のあいだ販売はできないといっていいでしょう。そのため、当初予定していた小海町内でのキノコ狩りは急遽中止。隣の南牧村千曲川左岸)に場所を移さざるをえなくなってしまいました。なお、採取地すぐそば(本沢温泉)で検出された放射線量は基準値以下だったとのことです。
 同じ日の交流会でも翌日の稲刈りのときも、キノコの線量についてはひとしきり話題になりました。ある旅館ではキノコ狩り目当ての客400人がキャンセルになる、今年はマツタケの入札額が無料になった(かわりに検査サンプルを提出する)、キノコは放射線を吸収しやすい、などなど。ただし事実確認はしていません。
 ついに、というか案の定というか、原発被災の影響は長野県にまで及んできたようです。もっとも、群馬県側からの気流の通り道といわれる碓氷峠近くの軽井沢では、先に基準以上の線量がキノコから検出されていますが。
 小海周辺は、今年はキノコが不作だそうです。それでも慣れた人はしっかりと採ってくる。写真はツアー客の方々が採ったキノコを選別しているところ。かなりの割合ではじかれますが、ベテランは食べられないと思っても勉強のために採ってくるのだとか。
 ちなみに私の友人のひとりは、最初に採った1本だけがOKで、あとは毒キノコさえほとんど見つけられずじまい。トラウマになるといって落ち込んでおりました。飯舘の皆さんは、地元とは勝手が違うせいか、収獲は少なかったようです。
 個人的にはキノコ狩り初体験。そこそこキノコは見つかるものの、食べられるものとそうでないものの区別がまったくつかない。まして名前は説明を受けても覚えられない。あてずっぽうで採ってから詳しい人に選別してもらい残ったのが写真のキノコです。
 このうち手前の数本はホテイシメジ(別名チョコダケ)。食べた人の3人に1人は、お酒を前後約24時間以内に飲むと急性アルコール中毒症状を示すそうです。しかも酒に強い弱いは関係ないとのこと。美味とはいえ初めて食べるのは、まさにギャンブルです。
 急性アルコール中毒がどのようなものか知らないのですが、さすがに食べるのはためらわれました。勝率約7割とはいえ、やはり怖い。
 ところが、28日のキノコ狩りには参加しなかった友人が、翌日別の場所で採ったキノコと一緒にホテイシメジをミソ汁にしてしまった! ちなみに彼はキノコ狩り歴20年のベテラン。当然ホテイシメジのことは知っています。
 仲間6人のうち、果敢なギャンブルに挑んだのは件の友人を含めて3人。いずれも前日夜にたらふく酒を飲み、うち1人は二日酔いでした。確率に従えば、1人は中毒になっても不思議はない。幸いにも結果は3人ともセーフ。いや〜、おいしいキノコ汁でした。ほっ! ただし、汁のなかのどれがホテイシメジなのかわからなかったのが悔やまれます。食べなかった3人いわく「あまえら鈍感すぎて毒見役としてはまったく役に立たない」。
 野生キノコは、ふだん食べてる菌床栽培のものとは別物です。これで放射能の心配がなければ最高なのですが。