森と親しむ 四反田有弘さん

 ほとんどの方が八峰村の畑で野菜をつくっているなか、異色ともいえる藍や紅花を栽培している方がいます。以前から気になっていました。染物をやってる方なんだろうか。そのうち森林インストラクターとしても活動しているという話も伝わってきました。できれば話をうかがいたい。だいぶ前からコンタクトはとっていたのですが、田植えの日にやっと実現しました。四反田有弘さんです。
 当日の四反田さんは、ほんのり紅い絞りの手ぬぐいを小粋に身につけていました。たしかマリーゴールドの花で染めたもの(記憶ちがいかも)。もちろん四反田さんお手製です。
 四季おりおりに違う植物の色。そうした植物と対話しながら想いの色を染め出していく。草木染の発祥が長野県だと聞いたのは四反田さんからでした。昭和初期に長野県出身の山崎斌氏が養蚕農家の復興、伝統染色の復興のために「草木染」と命名、手機紬織物を飯田、諏訪、佐久地方で広めたのが始まりだとか。
 四反田さんは現在、草木染発祥の地のひとつで教室を開いています。小海と佐久市臼田。ほかに朝日カルチャーセンターの講師も。小海教室には八峰村関係者の方も通っています。今年3月には、松原湖畔のギャラリー創で生徒さんたちの作品展が開かれました(残念ながら拝見できませんでしたが)。
 四反田さんが草木染を始めたのは、森林インストラクターとしての活動がキッカケになりました。このインストラクターは林野庁が管轄する資格のひとつ。森林の育成・保護に関する業務をになっています。ご本人が言ったわけではありませんが、難関資格だそうですよ。取得したのは10年ほど前。それまで勤めていた繊維関係の会社を退職したあとのことです。
 現在の主なフィールドは東京の高尾山や奥多摩。仲間の方々と立ち上げた「森遊倶楽部」の一員として自然観察や林業体験の活動をしています。

 「もともと登山や高山植物が好きだったんです。八ヶ岳にもよく来ていました。松原湖高原に家をかまえたのも、お気に入りのフィールドだったからです。草木染を始めたのも山好きの一環。繊維の仕事をしていたので、なじみもありました。最近は東京と小海、半々くらいの生活でしょうか。いずれは小海中心にしていきたいですね」
 最後に小海周辺で四反田さんお気に入りの場所をきいてみました。ひとつは稲子湯からの登山道周辺。もうひとつは松原湖周辺の森。いずれも原生林に近い植生が保たれているそうです。稲子湯の上は何十年も前に、松原湖のほうは八峰村に参加してから行ったことがあるのですが、いったい何を見ていたのやら。「いいなあ」という記憶だけが漠然と残っているだけ。
 なお、草木染のほうは小海・臼田の教室以外でも、何人か集まれば随時ご指導いただけるとか。興味ある方は、このブログ宛てご連絡ください。四反田さんに取り次ぎます。
 八峰村特別イベントとして森林散策や草木染教室もあり、かな。そのときは四反田さん、よろしくお願いします。
※下写真は小海線馬流駅近くにある秩父事件戦没者の墓のそばで撮影。草木染の手ぬぐいを首に巻いた四反田さんが抱えているのはイチイの巨木です。樹齢200〜300年。ちなみに巨木として認定されるのは人の胸の高さの幹周りが3m以上だとか。