ミツとの遭遇

 以前、八峰村の村長さんから、地元養蜂家の方を訪ねる新企画を実施する旨の連絡があり、このブログにも掲載しました。その企画が動き出しています。7月17日、村長の渡辺さんに同行して町内親沢にある新津養蜂園を訪ねました。場所は千曲川をはさんで八峰村畑の反対側。集落の標高は1000メートルほどでしょうか。
 新津さんは現地で養蜂を始めたお父さんの後を継いだ2代目にあたります。蜂の巣から採取して網でこしただけの純粋蜂蜜。県知事賞などを何回も受けている逸品です。母屋の脇には蜂蜜の保管・販売場所でもあるコテージ風の小さな建物、庭には巣箱などの養蜂機材が並べられていました。
 企画の打ち合わせがすんだあと、さっそく巣箱の置いてある場所を見学。集落からさらに山を登ったところです。何十と置かれた巣箱の周りには通電した針金が張り巡らされていました。蜂蜜の大好きなクマの侵入防止用です。それでも完璧には防ぎきれないようで、新津さんのお宅にはクマに食い荒らされた巣箱が置いてありました。
巣箱後ろの草は8月にきれいな花を咲かせるはず(名前教えていただいたのですが案の定わすれてしまいました)。









 巣箱1個だけでも何万匹もミツバチが生活しています。ミツバチが飛び交うなかに足を踏み入れるのは、やはり怖い。しかも、ハチが向かってくるといわれる黒のズボンをはいていたのでなおさらです。防御用のネットも帽子もかぶらない丸裸の頭と顔。髪の毛に白いものが混じっているのが、せめてもの救いという情けなさ(ホントに救いになるかどうか疑問ですが)、何たる無謀。ハチが近寄ってきても、けっして追い払ったりしない。それだけが唯一の対処法でした。幸い同行した3人は刺されずにすみました。
 でも、新津さんは刺されています。目の前で見ていたのですが、そのときの様子が何とも印象的でした。腕にハチが留まると新津さんは平然とひとこと。「あっ、刺されるな」。刺されるか刺されないか、事前にわかってしまう。何を根拠に判断されているのか聞き漏らしましたが、長年の経験からハチの行動が理解できちゃうんでしょうね。予想どおりハチは一刺しして飛び去っていきました。わたしたち素人なら大騒ぎするところです。新津さんは刺された箇所を指でひとつまみしただけ。何事もなかったかのようでした。
 ミツバチは数キロ先まで花を求めて飛んでいくそうです。巣箱の周囲の畑には、さまざまなハーブやソバが新津さんの手で栽培されていました。こうした植物が季節ごとに色とりどりの花を咲かせ、ハチが蜜を吸いにくる。さらに周囲の山林には、蜂蜜として人気上昇中の山栗、信濃の国の語源になったといわれるシナノキ、そして千曲川沿いにはアカシア(日本で最も生産量の多い蜂蜜の種類はアカシア)が自生しています。

新津養蜂園で売られている純粋蜂蜜のひとつ。写真右は19世紀にアメリカ人ラングストロスが開発した養蜂箱。現在でも世界的に使われている。中には10枚ほどの巣板がセットされ、ここにミツバチが巣をつくる。



 採取された蜂蜜は、花の種類によって味・色・香りがそれぞれ異なります。新津養蜂園では、いま述べた植物以外にもレンゲ、桜、リンゴ、マロニエ、野バラ、萩、たくさんの花の蜜が混じった百花などがつくられています。
 見学会実施日はたぶん8月中旬のお盆のころ。八峰村オーナーの方はもちろんですが、一般の方々の参加も募ることになりそうです。当日は巣箱見学、遠心分離機による蜜の採取、利き酒ならぬ利き蜂蜜など、さまざまなお楽しみが用意されるはず。生産者ならではの蜂蜜利用法も教えていただけるかもしれません。詳しくは後日、運営委員会から正式の発表があると思います。その際は、このブログでのお知らせ以外にも町内観光施設などに参加募集のチラシが置かれるのではないでしょうか。皆さん、一緒に楽しみましょう。