養蜂の世界へようこそ 2

 ●羨むべきか哀れむべきか? 雄バチの生涯
 雄バチは未受精卵から生まれてきます。女王の分身みたいなものですね。餌も自分では集めず、雌の働きバチから与えられる。左団扇みたいな生活です。ただひとつの仕事が交尾。なんていうと、まるでハーレムの王様か大奥に通う殿様。
 雄バチは繁殖期になると、特定の空中(どのような条件の空中なのかまだ解明されていない)に集まって他のコロニーの女王バチを一斉に追いかける集団交尾飛行を決行します。巣のなかで女王(母親)にも雌バチ(兄弟)にもちょっかいを出すことはありません。
 1匹の女王に対して首尾よく交尾に成功する雄は10〜20匹。しかし成功の報酬には死が待っています。特攻隊の爆死といったらいいすぎでしょうか。不首尾に終わった雄は巣に戻りますが、いずれは追い出され野垂れ死にする運命が待っています。ごくつぶし不要の冷徹な掟!?。
 女王の体内に放出された精子の約1割だけが貯蔵されて2〜4年、つまり女王の寿命だけ生き延び、受精の時を待ちます。女王のほうも乱交(?)1回だけで交尾は終了。ただし、人工授精も最近では行なわれています。