飲んだくれ

 先日仕込んだ「こうみざかり」の発酵、順調でしょうか。八千穂美醸会のブログを毎日拝見しながら、こうみざかりの様子を想像しています。お前が参加したから、いい酒ができなかったなどと言われないことを願うばかり。
 ところで「挑戦する酒蔵」(農山村文化協会刊)という本を読んでいたら、江戸時代の日本酒事情が書いてありました。文化文政期には、大産地の灘から江戸に年間100万樽運ばれ、江戸の市場をほぼ独占していたそうです。当時の江戸の人口は約100万人。ということは年間1人1樽(4斗=40升=72リットル)消費されていた計算になりますね。赤ん坊まで含めた平均値ですよ。当時の江戸は、とんでもない飲んだくれの町だったわけです。たぶん歴史上もっとも酒を飲んだ時代だったのでしょう。
 ちなみに、わたしが1年間に飲む酒の量は日本酒換算にて約100リットル。夏場はビール類が増えますが、年間とおして多いのは日本酒です。やはり日本酒がいちばんおいしい。おいしさに飲まれることもしばしばです。
 なかでも一番の苦い思い出は「こうみざかり」がらみでした。昨春、できあがったばかりの「こうみざかり」を味わうために仲間が集まったときのこと。ふだん安酒しか飲んでないわたしの意地汚さがもろに発揮されてしまいました。めったに飲めない高級酒「こうみざかり」を、ここぞとばかりに飲みまくり、挙句の果ての泥酔、記憶喪失。あとで聞いた話によると、友人に抱きかかえられてタクシーに押し込まれたそうです。酒を飲んで人の手をわずらわしたのは初めての体験でした。