福島県の小児甲状腺がん

 先日、飯舘の方々が小海にいらしたおり、福島県では子供の甲状腺がんが増えているという話をききました。話のもととなっているのは、県民健康管理調査だと思います。
 現在福島県は、原発被災当時18歳以下だった人約36万人を対象に甲状腺異常調査を実施中。今年8月20日には何回目かの調査結果が公表されました。その時点での検査済みは17万6882人、ほぼ半数に当たります。このうち要2次検査と診断された方が1167人、実際に再受診された方768人。このうち甲状腺がんと診断されたのは18人、悪性の疑いありとされたのは25人。
 一般に甲状腺がんは成人になってから発症することが多いとされています。子供の場合は100万人あたり1〜2人らしい。NHKでは数十万人に1人といってました。ところが旧ソ連チェルノブイリ事故のあと、この小児がんが急増した。そんな経緯もあって福島県でも調査を始めたのでしょう。
 福島県での調査結果は、一般的とされる罹患率をはるかに上回っています。がんと認定された人だけでも100倍、疑いありを含めれば200倍を超える。それが原発被災の影響かどうか。当局(検討委員会)は否定しました。チェルノブイリ後に小児甲状腺がんが多発したのは数年たってから、というのがその根拠のようです。比較データがないので因果関係を確定できない、ともいってました。ただ、被災以前の国内罹患率と較べても違いは顕著らしい。
 このへんの詳しい事情は素人にはさっぱりわかりません。そんななかで気になることがひとつありました。それは調査目的が「安心してもらうため」だとされていたこと。あれっ? 調べる前から結果はわかっている? 不都合な結果が出たら公表しない? 場合によっては改ざんする? これまでも、安心のためという錦の御旗を掲げて情報統制が行なわれてきました。今回の発表に関しても、指摘を受けて罹患者数や年齢区分が訂正されたりしました。データの改ざんがあったのではないかという疑いもでているようです。
 じつをいうと、今回の甲状腺がんのことは飯舘の方からうかがうまで、まったく知りませんでした。あとで調べてみると、マスコミ報道も汚染水漏れなどのニュースに隠れて扱いも小さかったらしい。「福島県 甲状腺がん」で検索してみても、当局発表に基いた記事ばかりが目立ちます。当局にデータの矛盾を突いた公開質問状を送ったある団体の記事(トップに表示されていた)は、翌日に再検索すると少なくてもトップ100からは消えていました。検索システムには疎いので何ともいえませんが、どんな理由があるんでしょうか。