蕎麦打ち指南 by 葛飾区おやじの会

 年末におこなわれた東馬流公民館での蕎麦打ち会。葛飾区おやじの会の方が、プリントしたレシピを用意してくださっていました。そのレシピに基づいて、当日の打ち方を紹介します。ほとんど師匠からの受け売り、しかもド素人ゆえ誤解があるかもしれませんが、どうかお許しを。
小麦粉(割粉)の分量
 二八蕎麦(小麦粉2:蕎麦粉8)が標準のように思われているフシもありますが、これだけの蕎麦を出すのはかなりの高級店でしょう。今回の割合は1:2。初心者には小麦粉の割合が多いほうが打ちやすいようです。
 とはいえ、2:8と1:2の味を利きわけるはのはむずかしい。師匠の話によると、違いがわかるのは10人に1人いるかいないか。今回は二八蕎麦も打ちましたが、わたしはその他9人の部類でした(じつは両方食べたかどうかもハッキリしていない)。
 ちなみに自宅でたまに食べる市販の低価格乾麺の成分表を見たら、小麦粉のほうが先に書いてありました。これって、蕎麦であっても小麦粉の割合のほうが多いってことですよね。それでも茹で時間を短めにすれば、蕎麦の感触がどうにか楽しめます。この乾麺と今回の小海蕎麦なら、さすがに見分け可能なはず。
水まわし
 蕎麦打ち一番のポイント。のばすときにひび割れたり、茹でるときに麺が切れてしまうのは、たいてい水回しの失敗が原因です。水の量は粉の量の45%前後が基本(粉・季節・温度によって微調整)。最初に3分の2ほどを投入します。水が容器にこぼれないように注意してください。あとは粉の具合を見ながら追加。耳たぶくらいの柔らかさが目安になります。このへんは自分の目と指先で覚えるしかなさそうですね。
 うどんは、こねと寝かせで粉と水がしっかりなじみますが、蕎麦はこねる前に満遍なく水をいきわたらせることが大切。あとから粉を追加しても水は回りません。
くくり、練り、へそ出し
 水が回ったら、ひとつにまとめてからこねていく。表面に艶が出てくるまで100〜150回。初心者は汗が出てくるくらい力が入りますよ。もし水分が足りないようだったら、手の平に水をたらして生地に練りこんでください。
 この間もたついていると生地が乾燥してしまいます。手早く! 蕎麦打ち会のときは、こちらのもたつきぶりを見かねた師匠が手伝ってくれました。
 へそ出しは、花びらを順次内側に折りたたむようにして、お供え餅形に整える。生地の空気を抜くという意味もあるそうです。
地のし、丸出し、角出し、本のし
 へそ出しした生地を、まずは手の平で15cmほどの大きさにのす。これを麺棒で30cmくらいまでのばす。まだ円形です。次は角出し。どうやって四角にするのか疑問だったのですが、教えてもらえば簡単でした。最初は打粉を麺棒と直角に振って楕円形にのばし、次は生地を90度回転させて再びのばす。この作業を何回か繰り返せばちゃんと四角になります。
 あとは本のし。生地の厚さが均一になるようにのばしていく。好みにもよりますが厚さ1mmくらいまでかな。大きさにして1辺50cmくらいまで。手で生地の表面をなでてみると凸凹がわかりますよ。
 慣れないと麺棒がスムーズに回転してくれません。力の入り具合もばらついてしまう。手の当て方にもいろんな方法があるようです。
たたみ、切り、茹で
 本のしが終わったら、打粉を振って3つくらいに折りたたむ。この上にコマ板をのせ包丁で切っていく。いちど切ったら包丁を倒してコマ板をずらします。この繰り返し。同じ太さに切れるようになるのは慣れしかないでしょう。コマ板はおさえつけないように。初めて使った蕎麦切り包丁は、すぐには手になじんでくれませんでした。
 茹で時間は1分から1分半くらいかな。たっぷりのお湯で麺が泳ぐように。差し水厳禁。茹で過ぎは味が落ちます。
茹で終わったら手早くザルにとって冷水にさらしてヌメリをとる。これで絶品手打ち蕎麦のできあがりです。
 ※JAS(日本農林規格)などの規定によると、生麺だと蕎麦粉30%以上なら「そば」と表示可、50%以上なら「高級品」と表示してもいいとか。このことを考えると、小海での蕎麦打ち会では、超高級品を打って食べたことになりますね。おいしいはずです。