「かす」の使いみち

 かす=通常は廃棄物に近いニュアンスでつかわれることばですね。でも、いわゆる搾りかすとなると用途は多彩。その代表格は酒粕かな。粕汁・粕漬け・簡易甘酒などなど。さらには焼酎や酢の原料にもなる。大豆油の絞りかすは醤油、サトウキビの場合は味の素(らしい)、菜種油では肥料。ほんの身近な一例です。ほかにも数え上げればきりがなくなるでしょう。
 日本酒づくりでは、酒粕以外にも「かす」が出ます。精米時の削りかす。こうみざかりの精米歩留まりは60%以下の吟醸酒仕様ですから、100kg精米すれば40kgが削りかすになる。この削りかす、昨年までは煎餅用として蔵元から菓子屋さんに渡っていました。それが今シーズンは凍み餅の材料として使われています。
 こうみざかり用の八峰村酒米ひとごこちは、たぶん何100kgかが蔵元に納入されました。だとすると100〜200kgくらいの削りかすが残った計算になる。オヤマボクチの調達量を考えると、今シーズン製造予定の凍み餅だけでは使い切れません。
 八峰村が蔵元から購入した削りかすの価格は1kg100円以下。とにかく安い! 凍み餅以外にも使いみちが何かないだろうか。そこでふと思いついたのが好物のひとつ大根餅でした。通常の大根餅は上新粉を使いますね。本格的な作り方は知りませんが、わたしは千切りした大根を塩もみしてから上新粉に練りこみ、フライパンで焼いています。削り節やトロロ昆布を入れたり、先日は自家製柿酢の搾りかすも混ぜてつくりました。
 この大根餅、アレンジはいくらでもできる。肉や練り物を一緒に混ぜたり、大根のかわりに野沢菜などの漬物をつかったり。米の粉を使った一種のお好み焼きとして応用可能。あるいは「おやき」といってもいいのかな。
 「おやき」はいわずと知れた信州名物。小麦粉のかわりに米の粉、上新粉ならぬ削りかすを使って「おやき」ができないか。具は、お好み焼きのように粉に混ぜてもいいし、おやきのように饅頭型にしてもいい。いずれにしても、おいしいおやつになりうる。新たなB級グルメとして売り出せる道も開かれていると思います。ちょっと考えてくれませんかねえ、Kさん。わたしもいろいろ試作してみるつもりではおりますが。
 米粉おやき。なんだかいけるような気がしてきました。いわゆる米粉上新粉よりさらに微粉末ですが、削りかすも米の粉であることに間違いはありません。吟醸酒用の米は、でんぷん質の多い芯の部分を使います。削り取る部分には蛋白質やミネラルなどが比較的多く含まれているそうですね。栄養分的にはいけそうな感じ。加工したときの味や食感はどうか。このあたりは試作してみないとわかりません。でも、凍み餅でじゅうぶんいけるんだから大丈夫じゃないかな。
 ところで、ひとごこちの削りかす、八峰村のメンバーなら手に入れることできるんでしょう? 現在は蔵元の所有物なのかな。それともすでに八峰村が全量あるいは一部引き取って蔵元で保管してもらっている状態なのかな。できるなら2〜3kg購入して、試作かたがた個人用の食材としても利用したいですね。