かすかすの使いみち

 かす。普通は不用品、廃棄物といったニュアンスのある言葉ですが、ここでは愛着を込めてつかっています。一見役立たずだけど実は。そんなところがたまりません。かすのそのまたかす=かすかすともなれば愛おしさひとしおになります。
 その「かすかす」がいま手元にある。酒米削りかすを篩にかけて残った小さな米粒のかけら。大きさ1mmほどでしょうか。八峰村の凍み餅づくりでは、今シーズン1度目は削りかすを篩にかけずにそのままつかいました。でも2度目以降は取り除いている。だからいただくことができました。たぶん八峰村でしか手に入らない稀少品です(蔵元から削りかすを引き取っているお菓子屋さんなどは、どう処理してるんだろう?)。
 いただいたはいいものの、さてどうしたものか。揚げ物や焼き物の衣として試してみたらイマイチ。普通のご飯のように炊いてみたらどうなるのか。まず生粒を水でそそぐと赤糠(糠床や飼料としてつかう部分)が混じっている。玄米だと思えば気にならないので、そのまま炊飯器で炊きました。
 食べてみると、ちょっと柔らかくて糊っぽい。水が多すぎたのか、もともとそういうものなのか。蒸したほうがよかったかもしれません。もちろん、そのままご飯としておいしく食べられるのですが、ふと思いついたのが「きりたんぽ」でした。このご飯なら、米粒を潰す手間が省ける。炊き加減が柔らかすぎる嫌いはあるけれど太っ腹にかまえて、と。
 できあがった「きりたんぽ」もどき。本場秋田では、きりたんぽ専用串が市販されているそうですね。でも手元にそんなものはないので割り箸で代用。本格派なら囲炉裏で焼くのでしょうが、これまた望むべくもないのでフライパンで焼きました。写真の下ふたつは割り箸に巻きつけないでオーブントースターで焼いたもの。
 案の定、今回のきりたんぽもどきは、まだまだ水分が多すぎる感じ。鍋のスープに浸したときみたい。これじゃスープの旨みを吸ってくれないんじゃないか。まあ1日2日放置して自然乾燥させてから調理しようと思います。ただし定番の鍋以外のものを。たとえば田楽とかサラダとか炒め物とか。