凍み餅に粳(うるち)を混ぜるわけ

 えびす庵での交流会でのこと。凍み餅のことも当然話題のひとつになりました。このブログでも何度か紹介していますが、飯舘の凍み餅はもち米&粳の粉を半々でつかいます。もともと、ありあわせの屑米を放り込んで餅にしていた、だから粳も入っている。などと勝手な想像をしていたのですが、ハズレだったようです。
 哲さんの話によると、粳を入れるのにはわけがある。入れなければ、ちゃんとした凍み餅にはならない。凍み餅は凍結乾燥させたあと水で戻してから食べます。このとき、もち米だけだと水分を吸ってくれないのだとか。そういうことだったのか。
 飯舘式凍み餅は、水で戻すと生餅に近いモチモチ感がよみがえります。これがもち米だけだと、食べられなくはないでしょうが、ざらつきや硬さがたぶん残ってしまう。だから先人たちが粳も入れたんでしょうね。もち米のほうは粉ではなく粒のまま蒸かしてもいい、と哲さんはいってました。
 もち米も粳もつかう。これまで凍み餅とはそういうものだと思いこんでいました。じっさいに知っているのは飯舘式凍み餅だけですから。でも気になったのでネットで調べてみると。ウィキペディアでは「餅を凍らせ乾燥させた保存食」程度の説明のみ。餅の材料まではわかりません。他のサイトをあたってみると、粳だけでつくる凍み餅もありました。たとえば山形県とか。この場合は、粳を普通のご飯より柔らかめ(お粥状?)に炊いて擂り粉木などで搗く。あとの凍結乾燥の工程は飯舘凍み餅とほぼ同じようです。
 不思議なことに、もち米だけでつくる凍み餅は見つけられませんでした(ちゃんと調べたわけではありませんが)。むしろ粳だけのほうが多数派のような。ヤフー質問箱みたいなサイトでは、「凍み餅はお粥でつくるとききましたが?」なんて質問に対して、ベストアンサーは「きいたことありません、餅でつくるはずですよ」。的外れな回答のような気もします。