星見

 凍み餅はキラキラ星の下で凍らせる。凍み餅づくりのコツのひとつです。飯舘からいらしている菅野栄子さんの名言のひとつでもあります。これからの冬にかけて、小海はひときわ星空の美しい季節を迎えます。露天風呂から見上げる満天の星は悦楽の極みでもあります。
 星といえば、松原諏方神社の奥の院ともいうべき御射山(みさやま)には「星見の松」があります。この松の上空を眺めると、昼間でも星が見えるらしい。周囲の別荘地が星見ヶ丘と呼ばれるのは、たぶんこの松が由来なのでしょう。
 もうひとつ、星がらみの巨木を発見しました(たんにこれまで知らなかっただけの話ですが)。松原湖畔諏方神社上社境内にあるサワラです。樹齢1000年、幹周り5m。根元部分が空洞になっている巨木はよく見かけますが、このサワラは天辺まで空洞が突き抜けている。下から見上げてみると、確かに穴が開いているのがわかります(写真中央部の青っぽいシミみたいなのがそれ)。運がよければ、あるいは事情に詳しければ、穴ごしに星が見えてもおかしくありません。
 このサワラを偶然見つけたのは、9/28飯舘の皆さんとの交流会の前、早く会場に着きすぎて松原湖畔を徘徊しているときでした。夕暮れどきで星はまだ見えない時刻。あとで本当に穴から星が見えるかどうか確かめてみよう。なんて思っていたのですが、交流会の盛り上がりのなかで、お開きになったときはすっかり忘れていました。
 それにしても、なぜあんな空洞ができたのか不思議です。しかも枯れ木ではなく、1000年もの時を生きながらえている。エジプトだかマヤのピラミッドは、夏至だか冬至のときだけ光が差し込む穴を設けてあるそうですね。もしかしたら松原湖畔の1000年サワラにも、特定の日にだけ特定の星が穴からみえる、なんて言い伝えが潜んでいるのかもしれません。