ロケットストーブ

 これ、農業用ハウス内に設置されたロケットストーブです。場所は小海のとなり佐久穂町内のとある農家。先日小海に行ったおり見学させていただきました。アスパラガスなどの早期出荷を目論んで、ロケットストーブを試験導入したとのこと。行政からの支援金も得ているそうです。
 このロケットストーブ、燃料は薪などですが、ヒートライザーという装置に特色がある。通常の薪ストーブの場合、横向き煙突の長さには一定の限度がありますね。長すぎれば排煙の吸い込みが悪い。そのため設置場所から遠いところは暖房が行き届きにくい(煙突は一種の暖房装置でもある)。
 この問題をクリアーするのがヒートライザーです(写真では燃焼窯の左にあるドラム缶部分)。缶内中央には、燃焼窯につながった煙突が垂直に立てられ、断熱材が巻かれている。この内部煙突上部から出た煙は、ドラム缶の下部に取り付けられた外部煙突から排気される。つまり、煙が上昇―下降のプロセスを経ることで、長い横煙突でも排煙可能になるらしい。
 ロケットストーブは1980年代にアメリカで開発されました。最近は日本でも各地で浸透してきています。農業用としては重油の代わりにタダ同然の薪を使うため経費が安上がり。家庭用としては、室内に煙が出ない、というメリットもあります。
 わたしがロケットストーブの話をきいたのは八峰村の村長からでした。じつは佐久穂のケースも村長が話を持ち込んだのだとか。しかも村長宅では現在ロケットストーブの工事が進行中です。家内中央部の台所に設置して居間に煙突を通す。壁に煙突を通す穴をあけたり、室内煙突のカバーをつくったり、設置場所の床の補強断熱工事をしたり。ほとんどドゥーイットユアセルフみたい。
 さすがにストーブ本体は自作というわけにはいかず、山形県在住の知人につくってもらっているとか。燃焼釜はプロパンガスの小型ボンベを切断して使用。ヒートライザーは写真で紹介したドラム缶より小さいものになるそうです。この4月には引き取りに行くとのこと。本体購入+工事材料費あわせて10数万円といったところでしょうか。
 来冬に村長宅を訪ねたときは、ロケットストーブのぬくもりを堪能できそう。ヒートライザーの上に鍋を置いて、ことこと煮込み料理をつくるのもいいなあ。そのためには付帯工事の試行錯誤がうまくいくことを祈るのみ。