わけあり極上凍み餅

 先日の畑びらきでいただいた凍み餅。これまで以上に美味でした。生餅のような食感。モチモチ&ねっとり。口に入れたときは、あれって思ったほどです。それくらい今まで食べた凍み餅とは違っていました。
 調理法はフライパンで焼いて砂糖と醤油を絡めただけ。ごくごく一般的な食べ方ですね。なのに、なぜ? 普通の凍み餅は、粳(うるち)ともち米をいずれも粉にしてから蒸して餅にします。それが今回いただいたものは、もち米を粒のまま使ったものだとか。
 今年2月、凍み餅の仕込みを飯館村の避難先である伊達市でもおこないました。このとき使ったのが粒米だそうです。でも、気温が高すぎて凍結不十分。小海に送ってやりなおしました。しかも、一部カビまで生えてきてしまった。どうやら吊るすときに使った稲わらが発生源らしい。
 そういえば現場調理に使ったガスコンロの下を見ると、水で戻した凍み餅のかけらがボウルに捨ててありました。そのかけらをよく見ると、何やら赤い色が滲んでいる。それがカビた部分だそうです。いわば失敗作。当然商品にはなりません、売ってません。
 でも食べられないわけじゃない。地元の人は食べてます。わたしもカビを削り取って食べてました(ただし凍み餅ではなく普通の餅ですが)。生餅のカビは白または緑がかっていて、表面主体につく。今回見た凍み餅のカビは赤くて内部までしみこんでいる。きっと種類が違うんでしょうね。
 いずれにしても畑びらきでふるまわれた凍み餅は、わけありだったというわけです。でも、なぜおいしかったのか、まだ疑問のまま。粒米を使ったからだけなのか。だとしたら、これまではなぜ粉を使っていたのか。米の足りない時代なら、くず米活用という意味もあるでしょう。それが伝統として残ったのかもしれない。粒米をわざわざ粉にする手間をかけてつくっているのが現在の凍み餅です。粒米をそのまま蒸して餅にしたほうがおいしいのなら、なぜそうしないのか。
 おいしさの理由、こんど小海にいったら確かめてこなくては!